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行政法

緊急事態の布告

[問題]

警察法に定められている緊急事態の布告について述べなさい。

  1. 緊急事態の布告の意義
  2. 緊急事態の布告とは、大規模な災害や騒乱等、我が国の公安に係る緊急の事態が発生した場合において、その事態に対処するために内閣総理大臣が全警察力を直接、統制する措置をいう(警察法71条)。

  3. 緊急事態の意義
  4. 緊急事態とは、大規模な災害又は騒乱その他の事態をいう。また、警察法71条1項における「治安維持のため特に必要があると認めるとき」とは、平常の警察組織が発揮し得る能力のみでは、事態の収拾を図り、治安を確保することが困難な状況下にある場合において、一時的に警察の指揮系統を変更して政府の統制下に置き、内閣総理大臣による警察力の指揮を通じて収拾を図る必要があると認める場合をいう。

  5. 布告の効果
  6. 緊急事態の布告が発せられた場合には、内閣総理大臣が一時的に警察を統制することになる。この場合、内閣総理大臣は、緊急事態を収拾するために必要な限度で警察庁長官を直接指揮監督することになる(警察法72条)。この際、国家公安委員会は、内閣総理大臣に必要な助言をしなければならない(警察法75条)。

  7. 警察庁長官の権限と措置
  8. (1)指揮

    長官は、布告に記載された区域を管轄する都道府県警察の警察本部長等に対して必要な命令をし、又は指揮をとるものとされている(警察法73条1項)。

    (2)派遣命令

    長官は、布告区域を管轄する都道府県警察以外の都道府県警察に対し、布告区域等に警察官を派遣することを命じることができる(警察法73条2項)。

  9. 派遣された警察官の職権行使
  10. 派遣命令により、布告区域又は布告区域以外の必要な区域に派遣された警察官は、当該区域内のいかなる地域においても、警察官としての職権を行使することができる(警察法73条3項)。緊急事態の布告は、警察官に新たな特別の権限を付与することを認めたものではないことから、行使できる職権は、警職法その他の法令が認めた権限にとどまる。