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刑事訴訟法

逮捕状の緊急執行

[問題]

逮捕状の緊急執行について述べなさい。

  1. 逮捕状の緊急執行の意義
  2. 逮捕状により被疑者を逮捕する場合は、あらかじめ逮捕状を被疑者に提示するのが原則である(刑訴法201条1項)。

    しかし、偶然に指名手配被疑者を発見したとき等、逮捕状を所持していない捜査員が被疑者を発見した場合に、逮捕状が発付されているのに逮捕状を提示できないからといって被疑者の身柄を確保できないとすると、被疑者に逃走され、以後の逮捕が困難又は不可能となるおそれがある。

    そのため、刑訴法は、既に逮捕状が発付されている場合であって、急速を要するとき、逮捕の理由と逮捕状が発付されている旨を告げて逮捕し、事後に逮捕状を提示することを認めている(刑訴法201条2項・73条3項)。

  3. 趣旨
  4. 逮捕状を所持していない捜査員が、被疑者を偶然発見した場合にその身柄を確保し、被疑者の逃走を防止すること等にある。

  5. 要件
  6. (1)逮捕状が発せられているが、逮捕状を所持していないこと

    緊急逮捕と異なり、既に逮捕状が発せられていることが必要である。

    (2)急速を要するときであること

    被疑者を発見した場所に逮捕状を取り寄せていては、逃亡されるおそれがある場合をいう。

    (3)被疑事実の要旨及び逮捕状が既に発せられている旨を告知すること

    被疑事実の要旨の告知は、被疑者に対し理由なく逮捕するものではないことを一応理解させる程度に告げれば足り、必ずしも要旨一切を逐一告知する必要はない(東京高判昭28.12.14)

  7. 逮捕状の提示
  8. 身柄を拘束した後、できる限り速やかに逮捕状を提示しなければならない。

    逮捕後の逮捕状の提示は法定要件であり、検察官による勾留請求の時までに明らかになっているべきであることから、逮捕状の事後提示は、身柄を拘束した時から最大でも72時間以内になされるべきであると解されている。