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行政法

行政行為の無効、取消し及び撤回

[問題]

行政行為の無効、取消し及び撤回について述べなさい。

  1. 行政行為
  2. 行政行為とは、行政機関としての意思を決定する権限を持つ行政庁の一方的な行為により、国民の権利・義務を形成し、あるいはその範囲を確定する行為をいう(最判昭39.10.29)

  3. 行政行為の無効
  4. (1)意義

    行政行為の無効とは、行政行為に、重大かつ明白な瑕疵があることによって、法的効果が発生しない場合をいう。

    (2)行政行為が無効となる事由

    行政行為が無効となるのは、その瑕疵が重大かつ明白な場合である。

  5. 行政行為の取消し
  6. (1)意義

    行政行為の取消しとは、行政行為に瑕疵があることを理由に、行為の時に遡ってその効力を失わせることをいう。

    (2)主体

    取消しは、正当な権限を持つ裁判所又は行政庁によって行われる。

    (3)効力

    法的安定性を確保するため、権限ある者により取り消されるまでは、行政行為は有効なものとして取り扱われる。

  7. 行政行為の撤回
  8. (1)意義

    行政行為の撤回とは、行政行為の成立には何ら瑕疵はなかったが、その効力を存続させておくことが公益に適さない事由が発生したため、その効力を将来に向かって失わせる処分をいう。

    (2)主体

    撤回は、行政行為を行った行政庁において行い得る。

    (3)効力

    撤回は、成立後の事情を理由に行われ、将来に向かって効力を失わせる処分である。